「食べたくないんだから、しょうがないじゃない」と、発言を続ける寮母さんは、どちらかというと、大胆というか、細かいことは気にしないタイプで、先の、ちょっと真面目な看護婦さんなんかと組めば、いいチームワークが組めるだろうな、と思う。
真面目で細かいばかりでもよくないし、大胆ばかりでも困る。
何事でもそうだが、特に介護の仕事は、両方が補い合ってうまくいく。
「そういえばそうね。私たちだって、食べたくないことあるもの」
「そうそう」
「カロリー的には大丈夫かしらね。そういや、特にやせてるわけでもないし、何もしないんだもんね」と、真面目な看護婦さんにも余裕が出てきた。
「食べないと職員が来て、"どうしたの、食べないの"とか言うのよね」
「そうそう、それも入れ替り立ち替り、やって来る人がみんな言うのよ」
「ありゃ、老人はかなわんな」
「うん」と、一同苦笑気味の笑いとなる。